惨敗、しかし前進示した
パシフィックネーションズカップ(PNC)日本―豪州A (6月8日、福岡レベルファイブスタジアム)
環太平洋の6チーム(日本、NZマオリ、豪州A、フィジー、トンガ、サモア)総当りで競うパシフィック・ネーションズカップが7日開幕した。
W杯の翌年は「若返り」と称して大幅な代表メンバー入れ替えを行い、毎回強化の方向性を見失ってきたジャパン。同じ轍を踏まずメンバー入れ替えを最小限に止め、カーワン・ジャパンにとっては、昨年のW杯からチームの進化を証明する大事な大会となる。8日の初戦は昨年10―71となすすべなく敗れた豪州A。ワラビーズ経験のあるベテラン、スーパー14で活躍する若手などで編成された強豪を福岡で迎えうった。
前半5分、相手陣内でテンポよくフェイズを重ね、SOジェームス・アレジがDGで先制し、幸先よくスタートを切る。しかし10分に負傷交代で今季スーパー14準優勝・ワラタスで活躍する、サム・ノートンナイトが入るとがらりと流れが変わる。13分、ジャパン陣内でのラインアウトのミスから、そのノートンナイトに突破され、最後は主将CTBモーガン・トゥリヌイがトライし、逆転。少し迷いのみられるジャパンディフェンスを突いて、19分、34分、41分と前半だけで4トライ(3-28)。
このままでは、「昨年の繰り返しか…」と不安がよぎる中、後半に向けてJKは「ファーストタックルに集中」とディフェンスの修正を指示。徐々に守りでリズムができると、豪州AがシンビンでFW2人を欠く中、交代で入ったLO谷口智昭(立命館大出身)がパワフルに魅せてくれた。後半21分、ラインアウトからモールで押し込み、トライ。続けて25分にも、同じく交代のLO菊谷崇→FLハレ・マキリとつないだボールをねじ込み、2本目のトライを決め、14点差まで迫った。
最終的には30分にもトライを奪われ、結局21-42のダブルスコア。直前のクラシックオールブラックス(CAB)戦では決まった出足早いディフェンスがこの日は不発気味だったが、昨年の惨敗からすれば大きな前進だろう。トゥリヌイ主将は試合後、「CAB戦を見て臨んだ。想像以上に強いチーム」とコメントした。すばやいパスワークで先発3戦目のSH田中史朗、交代の谷口、菊谷の頑張りが印象に残った。次戦は昨年W杯で予選敗退ながらファイナリストの南アフリカ、イングランド両チームを苦しめ、大会を沸かしたトンガ(15日、仙台)。キャプテンのニリ・ラトゥ(NEC)などトップリーグでプレイする選手も多い。熱いたたかいを期待したい。