カーワン・ジャパン トンガに快勝!
パシフィックネーションズカップ 日本─トンガ(6月15日、仙台・ユアテックスタジアム仙台)
昨年の対戦ではジャパンがアウェーで20-17の勝利。しかし、W杯ではチャンピオン南アフリカを追い詰めるなど、本番で真の実力を発揮し世界の注目を集めたのはトンガの方だった。今大会、3勝を目標に掲げるジャパンにとっては絶対に負けられない08年最大のターゲットとなる相手である。
試合開始早々、トンガのロングパスにWTB小野沢がインターセプトを試みるも失敗に終わる。
2分、ファーストスクラムでペナルティを取られ、ピエーレ・ホラのPGで先制を許す。しかしすぐにFLハレ・マキリの見事な絡みでペナルティを取り返し、SOジェームス・アレジがきっちり決め同点に。しかし7分、すぐに返され再びリードを許す。
ジャパンはブレイクダウンで優位に立ち、すばやいテンポでボールをさばき攻撃にリズムが出始めるも、NEC所属のニリ・ラトゥ主将を筆頭にしたトンガの激しいタックルに遭い、トライまで至らない。しかし、キック合戦でも優位に立ち、トンガの強い当たりも何とか受け止め、自陣深くまで攻め入らせず、ペナルティを誘う。25分、30分、37分と立て続けにSOアレジがPGを決め12-6とジャパンリードで前半を終える。
後半に入り、3分アレジのPGで追加点。さらに6分、中盤の右スクラムからハイパント。こぼれ球をFLマキリのセービングでマイボールを確保すると、FL菊谷が絶妙なキック。これをFBショーン・ウェブがタッチラインぎりぎりのところで見事なターン→パス。そこへ走りこんだCTBライアン・ニコラスにつながり、最後は再び菊谷の手に渡りトライ。コンバージョンも決まり20-6とリードを広げる。
しかし、トンガに与えたペナルティから自陣でのラインアウト。トンガの力強く直線的なアタックにズルズル後退してしまう。何とかゴール前でタッチに押し出すも、マイボールラインアウトをあっさり奪われ、トライを許してしまう。
14分、両チームの地域の取り合い、キック合戦が続く。トンガ選手の足が止まり、チェイスが散漫になったところを見逃さず、SOアレジがカウンター。パスをつなぎ、トンガゴールへ迫る。キックでボールを相手に渡した後もきっちり前へ出て、5メートルでのマイボールスクラムを得る。スクラムからの攻撃、何とかつなぐも、ここでレフリーが負傷交代するという珍しい事態に。
仕切り直し、スクラムを押し込む。左へ展開し、CTB平が見事な伸びで相手をずらしWTB小野沢のトライ。
さらに20分トンガのハイパントのこぼれ球を拾ったFBウェブが独走しトライ。30-13とリードを広げる。
その後、双方のオフェンス、ディフェンスが何度も入れ替わるボールの奪い合いとなるも、キックで地域を取り返せるジャパンが優位に。さらに、トンガ選手のサポートを上回るディフェンスの戻りを見せ、ピンチの芽を摘む。
37分FBウェブに代わって入ったブライス・ロビンスのトライで35-13となりノーサイドとなった。
試合前は08年最大のターゲットであった。しかし、トンガに予想されていたような元気はなかった。ジャパンはトンガに「されたくないことはさせない」というようなうまい試合運びで勝つことができた。昨年まで8年間勝てなかったトンガに連勝。しかもラインアウト以外の内容は良かった。十分進歩したと言える。
しかし、W杯の本番で格上のチームに勝つためには、見る者の心を打つような低く、突き刺さるタックルを80分間続けなければならない。今日の試合、ジャパンはトンガの当たりを概ね受け止めた。これは選手のレベルが上がったということも確かではあるが、元気のないトンガに助けられた面もある。今後、NZマオリなど更なる強敵相手に、「受け止める」という姿勢で臨んでは先週の豪州A戦の二の舞となるだろう。ちなみに今日、低く突き刺さるタックルを見せたのはFLマキリ、CTBニコラスの2人だけだった。