雨中の激闘、リベンジならず
パシフィックネーションズカップ2008 日本対フィジー(6月22日、東京・国立競技場)
昨年W杯では31‐35。勝利までのあと一歩が届かなかった。フィジーは強豪ウェールズを下してベスト8入り。準々決勝では優勝した南アフリカに冷や汗をかかせる大活躍であった。
昨年のリベンジを果たし、世界ラグビー会に「ジャパンここにあり」とアピールすることができるか。
天候は雨。ボールを大きく動かすことの難しいゲームになることを予想するのはたやすいことだった。
開始3分、SOアレジのキックで敵陣に入り、ペナルティをもらう。これをアレジが決めジャパンが先制する。しかし9分、ラワンガにPGを返され同点に。15分、ハイパントからペナルティをもらい、再びアレジのゴールで6-3。
ここまで相手の反則に助けられてはいるものの、こぼれ球を拾われ、するっと抜かれて大幅ゲインというシーンが目立ち、いつトライを奪われてもおかしくない冷や冷やもの試合展開となる。
20分には敵陣22メートルでのスクラムからサイン攻撃を仕掛けるも、強いタックルに阻まれこぼれ球を拾われ大幅にゲインされる。キャプテン箕内のジャッカルで何とか取り返し難を逃れる。
ジャパンは積極的にハイパントを使用。いくつかのチャンスを掴むも、ハンドリングエラーで終わってしまう。32分にはフィジーゴール前でボールを獲得も、ミスによりトライまで至らず。
34分、ラインアウトからの攻撃にFBショーン・ウェブがライン参加。大きくゲインしたところでペナルティをもらう。SOアレジのゴールで9-3とし、そのまま前半終了。
後半4分、マイボールラインアウトからモールを作る。今大会評価の高かったモールも簡単に割られゲインされる。FBウェブのタックルからボールがこぼれ、CTB平が大きくゲイン。
両チームとも濡れたボールが手につかず、ハンドリングエラーを連発。こぼれ球を拾いあい、めまぐるしく攻防が入れ替わっていく。しかし、カウンター攻撃をさせれば世界一のフィジー。ボールを獲得した瞬間のスピード、周囲の選手の反応が早く迫力が違う。
10分、フィジーのキックをFBウェブがこぼし、それを拾われ、CTBナンゲレブキにトライまで持っていかれる。コンバージョンも決まり9‐10と逆転を許してしまう。
しかし13分、LO大野の体を張ったセービングからペナルティをもらい、アレジが決め12‐10と再びリードを奪う。
15分、自陣ゴール前からのタッチクックがミスキックになり、前の味方に当たりアクシデンタルオフサイドでスクラムを与えてしまう。このスクラムから左への展開、タックルが甘くオフロードパスをつながれトライを奪われ、12‐17と再逆転を許す。
1つのミスから一気にトライへと持っていかれてしまう。フィジー戦では毎回繰り返す負けパターン。昨年のW杯の苦い経験も頭をよぎる嫌な展開へとなっていく。
今大会絶好調のブライス・ロビンスを投入し、流れを変えたいジャパン。度々チャンスを作るもことごとくミスで終わる。
まだまだ逆転できるという状況の中、ついに我慢できず、38分フィジーを相手に最もやってはならないこと、意図のない不用意なキックを蹴ってしまい、案の定カウンターを仕掛けられトライに。結局12‐24で試合終了。反省の多い試合となった。
過去に幾度もフィジーと戦い、負けてきた。その中で、フィジーには絶対にやってはいけないことを身にしみて感じてきているはずである。しかし、今回もまた、同じ負け方を繰り返してしまった。フィジーは確かに強い相手でW杯ベスト8ではあるが、勝てない相手ではない。むしろ最も勝てるベスト8である。ジャパンがベスト8入りを目指すのであれば、毎回勝てるようにならなければならない。