第1回日本ラグビー学会リポート
日本ラグビー学会の第1回大会が3月30日、関西大学千里山キャンパスで開かれ、公開講座やシンポジウムなどにラグビーファンら約400人が参加しました。
日本ラグビー学会は、昨年7月に「ラグビーを誰からも愛され、親しまれ、楽しめる、人気の高いスポーツにする」ために「実践と理論の融合」を目的に設立されました。研究者だけでなく、神戸製鋼GM兼総監督・平尾誠二氏や東海大仰星航行監督・土井崇司氏ら関西ラグビーの指導者など132人が発起人となっています。
午前の部では研究発表が行われました。ラグビー選手がボールを持って走るとき、必ず両手でボールを持てと教わるが、本当にそれが正しいのか? という疑問に、実際に実験を行った結果をはじめ▽生まれ月(月齢)によって身体能力に大きな差の出る子どもに対して、指導者はどのような配慮を持って指導しなければならないのか▽スクラムの強さを数値で測るにはどうすればいいのか▽日本における聴覚障害者のラグビー「デフラグビー」の歩みと今後の課題―など、ラグビー独特の課題から他のすべてのスポーツに共通するものまで、どれも興味深いものでした。
午後からは日本代表の大畑大介選手と京都出身のラグビージャーナリスト・村上晃一氏を招き、「ワールドカップを振り返る」と題した特別講演が行われました。大畑選手は、右アキレス腱断裂という大怪我を克服し、ワールドカップ出場直前に、今度は左足のアキレス腱を断裂した時の精神状態やワールドカップでの日本代表の結果、今後のラグビー人生について気さくに話し、ファンにはたまらない時間でした。
また、「他競技から学ぶラグビー」と題したシンポジウムでは、日本と海外のサッカーの違いや、指導法を比較しました。日本人選手がボールの蹴るときの重心、パスの後に止まってしまう癖などを科学的に分析し、日本人選手がいかに無駄な力を使っているかが明らかになると、参加者からは大きな驚きがありました。
また、その問題がラグビーともぴったり重なり、オールブラックスのコーチが全く同じアドバイスをしていたという話になるとさらなる驚きがありました。話題は日本人の歩き方や走り方にまで及び、とても内容の濃いシンポジウムになりました。
今回のようなラグビー好きにはたまらない企画が、ぜひラグビー人気の高い京都で行われることを期待しています。