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August 29, 2008

聖地・菅平へ行ってきました(1) 日本ラグビー支える高校生たち感激

 ラグビーの合宿といえば菅平(長野県上田市)。標高1300mの高原、夏でも1日の平均気温は20度を下回る過ごしやすさ。天然芝、人工芝のグラウンドが100面以上。ラグビー以外にもサッカー、陸上、テニスなどさまざまなスポーツの合宿の地。アテネオリンピック金メダリストの野口みずき選手もこの菅平で高地トレーニングをしています。

 しかし、やはり菅平といえばラグビーなのです。日本全国のラガーマンが集結するラグビー合宿の聖地です。そんな菅平で高校ラガーマンの合宿を見てきました。
 菅平に到着し、まずはSUZUKIショップへ。その日の試合の予定が書き出されている。上から順にチェックしていくと、東海大仰星対東福岡、伏見工業対大分舞鶴というビックなカードが目に付く。これは見なければならないと思いつつも前者の時間と場所が書かれていない。何とか探し出すしかない。とにかく、午後だということだけはわかった。後者は37番グラウンドで午後3時半キックオフ。うまくいけば両方見られるかもしれないと期待しながらもまだ午前9時半。菅平散策に出ることにした。

 四方を見渡せば、山、レタス畑、森、そしてラガーマン。そこら中にグラウンドがあるため、どこへ行っても試合をしている。どのグラウンドで試合を見ようかと思いながら、やや静かなところへ。もちろん試合をしているが、双方とも人が少ない。当然観客などいない。ここで見ようとグラウンド内へ入り込み、ジャージに書かれている文字を確認する。一方は「巻」と書かれている。これは新潟のチームに違いない。そしてもう一方。「国立」…国立!!東京都立国立高校ではないか。あのスポーツライター藤島大氏がかつてコーチをしていたというあの。これは単なる偶然ではないと思いながら試合を見る。

 両チームとも強豪校と比べると体格はかなり劣る。技術的にも。しかし、ラグビーにかける思いはひしひしと伝わってくる。なぜかといえば、ひるまずに、本当によくタックルに行く。この子たちが日本ラグビーを支えているのだと思うと何かうれしくなった。

author:スモールフォス

August 28, 2008

南ア、9トライ猛攻も不安残る勝利

テストマッチ2008 南アフリカ‐アルゼンチン(8月9日、南アフリカ・ヨハネスブルク)

author:スモールフォス

 昨年W杯チャンピオンに輝いた南ア。一方、開催国フランスを2度破って史上最高の3位になり、優勝した南アから主役の座を奪ったアルゼンチン。トライネイションズの束の間の休息にW杯準決勝の再現となる注目の一戦となった。
 
 キックオフから南アはパワー全開。ディフェンス、オフェンス双方共に単純なパワーでは圧倒できることを見せつける。しかしアルゼンチンは、W杯での躍進の大きな要因となった低く、強いタックルと、NO8レギサモン筆頭に驚異的な2人目の寄りの早さを見せ、南アのチャンスをことごとくターンオーバー。南アに全くゲームを作らせない。
 南アがアルゼンチン陣へ深く入り込むも、ボールをこぼし、大きく蹴り返される。南アはそこでペナルティを犯してしまう。2分、8分、24分と立て続けに3本のPGをアルゼンチンSOフェリペ・コンテポーミに決められ、0-9と苦しい展開に。
 しかし31分、アルゼンチン陣10mでの南アボールスクラムSHジャニュアリーのパスが大きく乱れるも、今季絶好調のCTBデビリアスがカバー。アルゼンチンディフェンスの乱れを見逃さず一気にゲイン。フォローについたCTBジェイコブスにつなぎトライコンバージョンも決まり7-9とする。
 
 このトライを機にここまで南アを完全に封じ込めていたアルゼンチンの動きがパタリと止まってしまう。
 直後のキックオフ。デビリアスの好パスからWTBノクウェが大幅ゲイン。アルゼンチン陣で得たラインアウトから再びノクウェがブラインドサイドをゲインしトライ。コンバージョンも決まり、14‐9と南アのリードで前半を終える。
 後半開始早々、南アWTBピーターセンがディフェンスの裏にボールを蹴りこむ。そこへ100m10秒7の剛脚NO8スピースが圧倒的な速さでアルゼンチンディフェンダーを置き去りにしボールを拾い、そのままトライ。完全復活を思わせる。
 一方アルゼンチンの動きは止まったまま。前半30分までの驚異的なディフェンスは見る影も無く、勢いづいた南アになすすべがない。南アは好調ジェイコブス、HOビスマルクらの活躍で次々にトライを重ねていく。前半31分のトライから連続9トライの猛攻を見せ、終わってみれば63‐9と両国間の最多得点、最多得点差を更新。次週から再開されるトライネイションズへ向け、チームを勢いづける結果となった。

 スコアだけを見れば南アが強さを見せつけたということになる。しかし、前半の30分間、南アは幾度もターンオーバーを許し、主導権を握ることができなかった。個々のパワーがあるが故にどうしても前に出すぎ、無理な体勢で倒れてしまう。ボールキャリアーのボディーコントロール、2人目のオーバーの技術。この1人目、2人目のボールを生かすための技術に確実性が無いことは明らかである。この点を改善できれば鬼に金棒なのだが、それでも勝ててしまうが故に、改善される日は遠いだろう。

 最終スコアは63(9T9G)-9(3PG)

August 27, 2008

アウェーで南ア零封、ABs連勝

トライネイションズ2008第6戦 南アフリカ-ニュージーランド(8月16日、南アフリカ・ケープタウン)

author:テツヤ

 前節ホームで好調ワラビーズを破ったニュージーランド・オールブラックスが南アフリカ・スプリングボクスと激突。IRBランク1位をかけた世界最強決定戦ともいえるこのゲーム。ABsはホームでの第2戦(7月12日)、30年間不敗だったキャリスブルックで南アに敗れているだけに、アウェーといえども必勝を期して、ボクスファンの大観衆の中、ハカは「カパ・オ・パンゴ」で気合十分。

 ABsは前節と同じメンバー。南アはSHに第2戦で大逆転トライを決めたリッキー・ジャニュアリーではなく、フーリー・デュプレアが先発。9日のアルゼンチン戦で負傷したLOバッキース・ボタの代わりは、エイドリアス・ベッカーでいずれも層の厚さを感じさせる。リザーブには、フランソワ・ステインも控える。FBパーシー・モンゴメリーは記念すべき100キャップ目。

 前半、南アはキックオフをSOブッチ・ジェームスがタッチに蹴り出してしまったかと思えば、続いて自陣からのフリーキックをデュプレアがインゴールを切ってしまうなどどこかおかしい立ち上がり。WTBブライアン・ハバナのノッコン、マイボールラインアウトのスローミスと続き、前半7分、ディフェンスの裏を狙ったABsキャプテン、リッチー・マコウのゴロパントに走り込んだCTBコンラッド・スミスが押さえる。微妙だったがビデオ判定でグラウディングが認められ、先制トライ(キック失敗0-5)。
 ABsのSOダン・カーターもいつものスーパーブーツぶりが影を潜め、先制トライのコンバージョンを失敗すると、前半だけで3本のPGを外してしまう。南アは、陣地を取るキックが何度もデッドボールラインを超えてしまい、波に乗れないまま、前半終了。

 後半開始早々、カーターのミスが伝染したのか、こちらも名手モンゴメリーがPGを2本続けてはずし、逆転のチャンスを逃してしまう。その後互いに譲らない激しいぶつかり合いが続くが、後半25分、キックは不調だったカーターが素晴らしいラインブレイクを見せ、ゴール真下にタックルで倒されながらも“背面トライ”(キック成功、0-12)。35分には、南ア陣内ながらABsの激しいプレッシャーの前にCTBジャン・デヴィリアスのパスがなんとABsHOケビン・メアラムの胸に。そのままトライし、試合を決めた(キック成功、0-19)。
 南アホームで予想外の完封。カーターはゴールキックこそ不調だったものの、陣地をとる戦略的なキックやパント攻撃は正確で絶妙、ランも素晴らしかった。また前節に続き、ブレイクダウンでのマコウの奮闘、苦手のラインアウトの安定も良かった。南アは決め手の快足ハバナが足を痛めて途中交代するなど不運もあったが、ジョン・スミットに代わってキャプテンを務めたLOヴィクター・マットフィールドに冷静さを欠くプレーがあるなど全体として空回りした感じ。次もホームで、ワラビーズを迎え撃つが、立て直せるか。いよいよトライネイションズも終盤、この日の勝利でABsが一歩抜け出したが、最終戦までまだまだ目が離せない。
 最終スコアは、0-19(3T2G)

August 20, 2008

NZが世界ランク1位返り咲き

 16日行われたトライネイションズ2008第6戦(南アフリカ・ケープタウン)で、南アフリカを19-0で破ったニュージーランドがIRBランク1位に返り咲きました。以下、18月18日発表のIRBランキングです(カッコ内は前週)。
  1. (2)ニュージーランド
  2. (1)南アフリカ
  3. (3)オーストラリア
  4. (4)アルゼンチン
  5. (5)イングランド
  6. (6)ウェールズ
  7. (7)フランス
  8. (8)アイルランド
  9. (9)スコットランド
  10. (10)イタリア
author:テツヤ

mizutani

 30数年前、城南高校でラグビー部へ。高校とクラブチームで30歳すぎまで、現役だった。城南高校が09年3月に廃校になることを契機に若いOBたちと交流が広がり、廃校前にOB戦をとか、飲み会をとか、統合される「城南菱創高校」でラグビー部存続をとか、議論が広がっている。11月には大規模なOB戦をすることになった。その試合に出場すべく、51歳にして縄跳びを始め体を鍛えだした。そんなこんなで、オーバー40のチームをぜひとも、と思いはじめた。

August 19, 2008

帰ってきた、強いオールブラックス

トライネイションズ2008第5戦 ニュージーランド‐オーストラリア(8月2日、ニュージーランド・オークランド)

author:テツヤ

 第4戦でワラビーズに敗れ、数年ぶりの連敗を喫したグレアム・ヘンリーHC率いるニュージーランド・オールブラックス。ある意味「進退問題」をかけて、ホームのオークランド・イーデンパークで好調ワラビーズに雪辱を期す。会場は超満員だが、「負けるかもしれない」という緊張感に包まれていると、現地からのJスポーツ中継が伝える。ハカは、いつもの「カマテ・カマテ」ではなく、ここぞの時の「カパ・オ・パンゴ」で臨んだ。

 開始すぐ、ABs反則でSOマット・ギタウがPGを決め先制(0-3)するが、すぐにSOダン・カーターのPGで追いつく(3-3)。
 この日のABsは、オフロードパスでつなぐ攻撃をことごとく鋭いタックルで止められた教訓を生かし、カーター、SHジミー・カウワンが陣地を取るキックを効果的に繰り出し、チャンスメイクした。また、苦手のラインアウトも安定。
 前半11分、ABsがキックで攻め込み、ピック&ゴーインゴールに迫るが、ワラビーズ反則でPGを選択。カーターが決め逆転(6-3)。
 続いて17分、カーターが相手陣内深くにタッチキック。ワラビーズボールのラインアウトだが反則で、22メートル陣内でのABsボールのスクラム。そこからゴール正面に展開し、CTBマア・ノヌーが突進。ラックから最後は、PRトニー・ウッドコックが押し込んでトライ(キック成功で13-3)。
 さらに22分、今度はカウワンが相手陣内に絶妙なキックを蹴りこみ、これをFBアダム・アシュリークーパーがまずいキック処理で、ABsラインアウト。LOアリ・ウィリアムズがボールをキャッチするやすぐにウッドコックにパスし、飛び込んでトライ(キック失敗18-3)。
 ワラビーズは、前節威力を発揮したタックルが、キックを多用するABsの攻撃にきかない。しかし、ここで諦めないのが今年のワラビーズ。前半30分、ABs陣内でのラインアウトから、ギタウ→CTBスターリング・モートロックとつなぎ、フラットないいパスにアシュリークーパーが走りこんでトライ(キック成功18-10)。この後、カーターがPGを決め21-10で前半を終了した。前半終えてABsが奪ったターンオーバーが11。キャプテンのマコウ復帰でボール争奪戦に圧倒していることを物語る。

 後半も開始直後からABsが積極的に仕掛ける。42分、WTBシティバニ・シビバツがワラビーズ陣内にタッチキック。ワラビーズがラインアウトをミス。そこからノヌー→シビバツ→ノヌーでトライ(キック成功28-10)。
 ワラビーズは、45分マイボールスクラムからABs陣内で連続攻撃を仕掛けながらも、インゴール目前でターンオーバー。ブレイクダウンの攻防ではマコウが神がかり的なプレーを見せる。
 この後、カーターがPGを2本成功(34-10)。ワラビーズは得意とするラインアウトがことごとく乱れる。81分にはノヌーがダメ押しの4トライ目を決めノーサイド。ボーナスポイントも獲得し、言うこと無しのABs勝利。

 最後までドキドキしながら観戦した。しかし、敗戦から学び堅実に攻めるABsほど強いものはないことを知った。カーターの正確無比なキック、マコウがからむブレイクダウン、苦手のラインアウトもきっちり決めた。ワラビーズは大型FLのロッキー・エルソムの欠場が痛かったが、ミスも多く、何よりも最後は攻め手がない感じだった。強いABsの復活となるのか、アウェーで南アと激突する第6戦も見逃せない。

August 1, 2008

負ければ更迭!? 後がないヘンリー・ABs

トライネイションズ2008第5戦 ニュージーランド‐オーストラリア(8月2日、ニュージーランド・オークランド)

author:テツヤ

 先週、シドニーでオーストラリア・ワラビーズに敗れ、数年ぶりの連敗を喫したニュージーランド・オールブラックス(ABs)。今週はホームのオークランド・イーデンパークで雪辱を期します。NZ国内では、ABsよりもニュージーランド人のロビー・ディーンズHC率いるワラビーズのほうが支持率が高いという“逆転現象”が起きているだけに、負けられない一戦になります。

 両チームともメンバー発表されています。ABsは、キャプテンのリッチー・マコウの復帰が好材料ですが、問題はSH。アンディー・エリス、ジミー・カウワンとも負傷でプレーできるか微妙で、代わりにヘンリーHCの好みに合わないピリ・ウィップーが追加招集されていますが、どうなるか。またFBはレオン・マクドナルドが当初発表されましたが、脳震盪のため欠場となり、ミルス・ムリアイナ。そのムリアイナが入る予定だった14番(WTB)には、先週CTBで出場したリチャード・カフィが入ります。

 ワラビーズも先週欠場したキャプテンのスターリング・モートロックの復帰が大きい。しかし、じん帯を痛めたロッキー・エルソムが出られず、フィル・ウォーが入ります。

 マコウが戻り、ウォー、ジョージ・スミスとのブレイクダウンの攻防は激しさを増すでしょう。ディーンズHCも初のアウェーゲームで母国対戦。オークランドでは過去22年、ワラビーズは勝ってないらしいので、負ければヘンリーHC(オークランド出身らしい)の首が危ない。文字通り背水の陣のABsです。 ◎オールブラックス
  1. トニー・ウッドコック
  2. アンドリュー・ホア/ケビン・メアラム
  3. グレッグ・サマーベル
  4. ブラッド・ソーン
  5. アリ・ウィリアムス
  6. ジェローム・カイノ
  7. リッチー・マコウ(C)
  8. ロドニー・ソイアロ
  9. .ジミー・カウワン/アンディー・エリス/ピリ・ウィップー
  10. ダン・カーター
  11. .シティベニ・シティバツ
  12. マア・ノヌー
  13. コンラッド・スミス
  14. リチャード・カフイ
  15. ミルス・ムリアイナ リザーブ
  16. ケビン・メアラム/アンドリュー・ホー
  17. ジョン・アフォア
  18. アンソニー・ボーリック
  19. アダム・トンプソン/ダニエル・ブレイド
  20. ジミー・カウワン/アンディー・エリス/ピリ・ウィップー
  21. ステファン・ドナルド
  22. アンソニー・トゥイタバキ
◎ワラビーズ
  1. ベン・ロビンソン
  2. スディーブン・ムーア
  3. アル・バクスター
  4. ジェームス・ホーウィル
  5. ナイサン・シャープ
  6. フィル・ウォー
  7. ジョージ・スミス
  8. ワイクリフ・パールー
  9. ルーク・バージェス
  10. マット・ギタウ
  11. ロテ・トゥキリ
  12. ベリック・バーンズ
  13. スターリング・モートロック(C)
  14. ピーター・ハインズ
  15. アダム・アシュリークーパー リザーブ
  16. タタフ・ポロタナウ
  17. マット・ダニング
  18. ダン・ヴィッカーマン
  19. ヒュー・マクメニマン
  20. サム・コーディングリー
  21. ライアン・クロス
  22. ドリュー・ミッチェル