初めての展示は、80年9月、左京区・岡崎公園で開かれた「第14回京都赤旗まつり」でのこと。府内一円の52銘柄が並びました。
同企画は、「週刊しんぶん京都民報」で79年から連載された「京都の地酒」がきっかけ。当時は、ビールや洋酒の消費量が伸び、若者の日本酒ばなれが進行。大手酒造業者の市場寡占が進むなかで中小酒造業者の経営が困難になっていった時期でした。連載では「日本酒の醸造は、千年も前から民族の酒としてうけつがれた誇りある伝統産業」として、地域の酒蔵の歴史や当主の酒造りへの意気込みなどをつづりました。
企画は、読者に“本物”を見て味わってもらおうと計画されました。伏見酒造組合をはじめ、府内の酒造組合、業者が協力。当時の担当記者が、酒蔵を訪ねて1本1本譲り受けました。
92年、酒どころ京都市伏見区で開かれた「第22回京都赤旗まつり」では、銘柄の陳列・試飲に加え、酒の歴史、酒造りの工程、酒造り唄などを目で見て知ってもらおうとパネルを独自に制作し展示。伏見酒造組合が所蔵する酒造りの道具もあわせて展示しました。
99年からは、酒造業者と参加者の交流をはかろうと、旧桑船酒造組合の蔵元や民謡合唱団「篝(かがり)」が参加協力が実現。羽田酒造(京都市右京区京北周山町)は、独自に開発した地ビールの試飲会を行ったほか、丹山酒造(亀岡市)は、女性杜氏見習い(=当時)の長谷川渚さんが、地酒の魅力をPRしました。
「篝」は、長年府内で採取・研究してきた酒造り唄を法被(はっぴ)姿で披露しました。
当日参加できない酒蔵についても知ってもらおうと、記者が京丹後市や宮津市などもふくめた府内の酒蔵を訪ね、当主から聞き取った内容をパネルにしました。
01年には、展示会場で酒文化研究家の松井強氏(「酒泉会」主宰)が講演も実施。
02年には、エッセイスト大森淡斎氏の筆による酒蔵紹介の連載「酒屋万流」を開始し、現代の酒蔵を紹介し、同年の企画に臨みました。