いつも笑顔の風(かぜ)が吹いてます
この子との出会いは、8年前の7月1日のこと。滋賀県に住む妹からの1本の電話から始まりました。「まだ目も開かない子犬と母犬がお寺の門に捨てられている」と…。急いで駆けつけると、妹の家の裏に保護されたところで、ケージの中で親子が体を寄せ合っていました。 近所の人が保健所に連絡されたと聞き、処分されてしまうのではと慌てて妹と友人が保護しに行ったのですが、母犬は子犬を守ろうとして誰も寄せ付けません。餌で何とか引き離し、子犬を保護し連れ帰ったそうです。
母犬は危害を加えられないと解ったのか、少し安心したのか、餌を食べ始めました。食べ終えると、まるでお礼を言うように挨拶に来たり、子犬を触らせるまでになりました。
次の日から友人宅にお世話になり、子犬が離乳できるまで交代で母犬の散歩や貰い手を捜しました。嬉しいことに母犬と子犬の男の子2匹はコロとムク、女の子3匹はラッキー、ジャム、風(フウ)と名づけられ、それぞれ貰われていきました。わが家は一人娘なので、姉妹のように育てばと、女の子1匹を新しい家族に迎えました。
風は人が大好きでチョコンと座り頭を撫でてもらうと嬉しそうにしています。
風がわが家にやってきて一年もたたないころ、まだ父と梨の木神社への散歩が日課だったある朝、いつものように出かけたのですが、神社の近くで、よその犬に驚き、首輪が抜けて北のほうへ走っていってしまいました。父は後を追って捜したのですが見つけられず、顔なじみの人に尋ねてみると「少し前に挨拶に来て、『ひとりでどうしたんや?』と暫く撫でていたら、南の方へ走っていった」と教えられたそうです。父はもしやと思い、急いで帰ってみると、シャッターの閉まったわが家の前でチョコンと座っている風を発見しました。
御所からは大きな通りを2つも渡ります。どのように渡ったのか? 本当によく無事でとホッとしたら、こんな時でもチャッカリ頭を撫でてもらっているし…と、家中笑顔になりました。
風が来てくれてから、わが家には笑顔の風(かぜ)が舞っています。