004010_山宣と私
山宣の性教育の源流をイギリス・ドイツに訪ねた旅行記〔10〕
2007年7月 3日 11:55
コッホ研にあった性学研究所
ガイドのKさんにアポを取っていただいて性学研究所で講演を聞いた所はR.コッホの研究室に同居していた。講演の後で細菌学者コッホの座っていた部屋にも案内された。担当の教授は性に関する裁判に出かけていて彼の元で研究を続けているAnna Konradさん(写真中央)がしっかりと話をしてくれた。その内容は性学の発展をプラトン、アリストテレス時代から説き起こし、中世のキリスト教の性倫理にも触れ、フロイト、エリス、ボロッホ、ヒルシュフェルトらの性科学の確立期の説明を受けた。Iwan Brochによって「性科学の確立」(1906年)がなされ、以降は体系的な研究が進み、M.ヒルシュフェルトによって性科学雑誌の刊行、性科学研究所(1919年)が作られ、1921年には性学の国際学会が開催されたが、1933年5月6日ナチスによってこの研究所は破壊され蔵書が公的に燃やされた(焚書事件)。ブロッホは皮膚科の医師で細菌の研究者でもあった。話はキンジーらの戦後の取り組みにも及び、最後に現在の性科学研究を説明された。今日、この研究所はフンボルト大学医学部付属病院にあって教育、診療、研究を進めているが、「性学の基本、方法論的研究、性感染症の治療と研究、性犯罪予防の研究、診療的研究の5本柱」を据えている。研究所のモットーとしてアンナさんが強調したのは、ブロッホから学んだ“生命、心理、社会”だと結ばれました。親切にも説明の種本“Anfange der Sexual-Wissennschft“(de Gruyter)をコピーしてもらいました。