こなし
和菓子の中で製品1個の含む水分量が30%を越えるものを生菓子と言いますが、これは食品衛生法で半生菓子、干菓子と区別する言い方で、本来京都では蒸菓子と云い慣わしてきました。和菓子の生地には蒸物と呼ばれる薯蕷・ういろう、練物と呼ばれるこなし、他にも村雨、葛など蒸す工程の入るものが数多くあり、その故に蒸菓子と呼んできたものと思われます。
今回のこなしは白餡または漉餡に薄力の小麦粉を混ぜ合わせ、蒸気で加熱することによつて小麦粉中のグルテンを作用させ、粘りある生地に変化させてつくります。
蒸しあがった生地に色付けし、粘りが均質になるように練り合わせるところから、練り物といいます。色付けが簡単、粘りのある生地なので、いろいろな形に成型可能で、包む、伸ばす、巻く、合わせる、ぼかすと何にでもこなせるので“こなし”というのでは?と思うほど多彩な表現可能な生地です。また、ういろうやお餅等と違って主な原料が餡ですので、餡の良否によって味が大きく左右されますし、各々のお店の個性がはっきり表れる生地でもあります。
1
こなしの生地には漉し餡を使うこともありますが、白餡を使って着色する場合が多いのです。餡の固さは固めのものを使います。2
薄力の小麦粉です。餡の量の7%~8%加えます。3
白餡と小麦粉を一緒にし4
よく練り合わせます。5
家庭用の蒸器でも可。今回は餡200グラムですので強火で20分ほど蒸します。6
時間になったら表面を金ベラ等でめくってみてください。小麦粉のグルテンが作用して、浮いたような状態になっていれば蒸し上がりです。7
熱いうちに木杓子で練って生地を均一にします。この時、色を付けます。8
熱の強く当たった外縁、蒸気を吸った表面、内部、各々固さが違うので練って均一にします。9
木杓子で均一にしたら、今度は掌で菊練りをするようにして練っていきます。色が完全に染まったら小さく切り分けて冷ましてやります。10
風を当てぬようにして暫く置き、表面に少し皮が張ったらまた練って均質にしてやります。荒熱が抜けたらラップに包んで冷まします。11
意匠に合った色に染まったら、冷めるまで待ちます。12
片栗粉を取り粉にして、麺棒で伸します。13
麺棒で伸します。14
周囲は長さを測りながら定規でデコボコのないように押さえていきます。15
必要な大きさになったら、決まったサイズに落としていきます。16
伸し物をつくる際の道具。粉函、定規、包丁、麺棒。17
切れたら横一列に並べ…18
餡玉を置き…19
二つ折りにして完成です。20
色彩、幅等自由に出来ますので、いろいろに意匠しておつくりいただけます。