葛
クズはマメ科のつる性の多年草で、山野、河原で自生、繁茂します。根から澱粉を採取し、食用や葛根湯などの漢方薬として広く使われている秋の七草のひとつです。
奈良県吉野でつくられる葛は高品質で、価格も群を抜いています。ほかには熊本県の球磨川葛、滋賀県高島市の熊川葛も良質の葛として知られています。良質の地下茎澱粉なので、消化・吸収がよく、独特の香気と透明さ、歯切れの良い粘りを持ったゲル状に変化するのが特徴で、水で溶き、湯煎するだけでも固まります。
お茶のお菓子としては6月末の「水ぼたん」から秋小口の「葛焼き」まで、約3カ月間だけ使われます。氷室、藻の花、水葵、夏木立、玉取など爽やかな菓銘と見た目の清涼感、口にした時の感触、盛る器もギヤマンや透かしなどが使われ、いっそう涼味を演出します。冷蔵庫で冷やすと白っぽく、固くなるので、食べる30分ほど前に氷の上に載せて冷やすのがよいでしょう。
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