蕨粉
蕨にせよ、葛にせよ、古来からの日本人の知恵と努力には感心させられることが多くあります。どちらも地下澱粉といいますか、地下の根から取り出した澱粉を手間をかけて精製したものです。
早春の一時期だけのお菓子に使われるものですが、喉越しの後にフッと鼻に抜ける香りに春の野趣を感じます。これを茶の菓子に取り入れた茶人の風味と季節に関する感覚の冴えにもまたまた感心します。
上白糖と水を加え、火にかけて練っていきますと、葛の数層倍腰の強い半透明の生地に変わります。これにきめ細かく漉した漉し餡を包んで、黄な粉を細かくふるったものがお茶のお菓子「蕨餅」です。
自生する蕨の減少と、精製に人手がかかりすぎることから年々天然の蕨粉は少なく、高価な原料になりつつあります。
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