しんいちのライブな日々

「セレナーデ」なブルース

 「太い」腕で奏でるギターは、ハイテンポでリズムを刻む。芯はガッチリとしているが、なぜかウクレレのような温かみがある。声は腹の底からから絞り出すようなシブさで、どこか切ない。サックスも太く渋い音で激しくアドリブを展開しながらも甘くささやくよう。「セレナーデ」という、ブルースとはいささか場違いな言葉が浮かぶ。双方、高度なテクニックを使っているのに、まったく気負いを感じさせない。この肩の力が抜けた心地よさは何なんだろう。沖縄の空気が育んだものなのか。心はやさしさに満たされていく。(つづく)

執筆者:平山